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EMPTY TYPES™
- プロジェクト期間
- 2026.03.13 – NOW
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Spark ── きっかけ・衝動
KAWSやBE@RBRICK、そして近年のPOPMARTなどのショップの人気が示すように、アートトイはいまや世界的に広がるカルチャーである。作家やデザイナーが自らの世界観を立体に宿したフィギュアは、子どものおもちゃでも、純粋な美術品でもない、その間に広がる独自の領域である。
SHEDはこれまで本格的なキャラクターの制作を行ったことはなかった。しかし、ロゴ、イラスト、3Dモデリング、パッケージ、グッズなど、これまで手がけてきたことが総合的に活かせる領域であると感じていた。それに加えて、単純にやってみたかったのが正直なところである。キャラクター好きなメンバーが集まって、手探りでプロジェクトは始まった。
Theme ── 探究テーマ
アートトイとは何か。そして、私たちはどんな世界観をつくれるか。
アートトイの魅力は「造形」だけにあるのではない。世界観、物語、拡張性──それらが一体となって、はじめてひとつのカルチャーとして成立している。私たちが探究すべきは、キャラクターのビジュアルだけでなく、そのキャラクターが存在する理由そのものだと考えた。
Process ── 探究のプロセス
まずアートトイカルチャーのリサーチから始めた。見えてきたのは、2つの大きな特性である。前述のKAWSやBE@RBRICKのように、素体そのものが立体的なキャンバスとして機能し、さまざまなアーティストやブランドとのコラボレーションとして展開しているタイプ。もうひとつは、MOLLYやラブブのように、独自の世界観やキャラクターの背景を持ち、その物語ごと愛されるタイプである。
リサーチを踏まえて、まずは3人のメンバーがそれぞれのアプローチで自由にキャラクターを考えた。その結果、SHEDの「削ぎ落とす」というコンセプトをモチーフにしたポップなものや、独自の生態を持つキモかわいいもの、現在社会に感じる違和感を込めた独自の世界観のものなど、三者三様のキャラクターができあがった。社内での議論を経て、本プロジェクトのキャラクターとして最終的に選ばれたのは、独自の世界観を持ちながらもキャンバスとしての拡張性も備えた3案目であった。その後、世界観の言語化、造形のブラッシュアップ、3D化、イラスト作成、ロゴデザインなど、メンバーそれぞれの得意領域を活かして制作を進めていった。
意識したのは、可愛いだけにならないこと。アートトイカルチャーの文脈に馴染みながら、独自の世界観が滲み出るバランスを探し続けた。
Output ── 成果物
EMPTY TYPES™。このアイデアの根底にあるのは、日常への小さな着想である。家を出るとき、人は何かしらの仮面をつける。社会の中で"何者か"として振る舞うための、もうひとつの自分。本体とガワという関係は、そこから生まれた。
最初の1体である"USAGI TYPE"を制作した。うさぎを選んだのは、かわいいガワとしての王道であったからである。無気力で無個性、少しグロテスクな本体との対比として、うさぎという形はちょうどよかった。加えて、原案を考えたメンバーがうさぎ年であったことも、その理由のひとつである。
造形はキャンバスとしての可能性を残すために、シンプルな形状を選んだ。目や空気栓など、キャラクターとして必要最低限の要素に削ぎ落とし、余分な凹凸はつけていない。ロゴはEMPTY TYPES™としての顔として、本体を表す骨のようなセリフ体と、ガワを纏ったぷくっとしたアルファベットを組み合わせて設計した。
EMPTY TYPES™とは
ガワがなければ、なにもできない。ガワがあっても、なにものでもない。
無気力・無個性。自分だけでは輪郭を保てず、ただ広がり、流れていくだけの液体状の本体。それが「ガワ」と呼ばれる器に注入されるとき、彼らははじめて社会の中で“何者か”としての形を得る。ただ、日々の生活の中でいっぱいいっぱいになると、ガワの栓が浮き、中身が溢れ出してしまう。ガワがなければ存在できない、虚無の生き物、EMPTY TYPES™。溢れ出したその液体は、ふたたび輪郭を失っていく。
Next ── 今後の展望
EMPTY TYPES™はまだ始まりに過ぎない。USAGI TYPEの中にも役割の異なるMODELが存在する。また、新たなTYPEの追加も進めていく予定である。
具体化としては、いつかソフビフィギュアとして展開することを目指している。複数のTYPEやMODELが封入されたコレクタブルトイのランダムボックス──開けるまで何が出てくるかわからないあの高揚感を、いつか届けたいと思っている。そして、さまざまなアーティストやブランドがガワのデザインに関わるコラボレーションへの広がりも、私たちは密かに思い描いている。
コメント
TARUKAWA
アートトイはデザイン性の高さやアウトプットの魅力に留まらず、カルチャーであり小さな世界であると感じた。 まずはフィギュア制作など具体的なアウトプットで世界観を発信していくことを次のステップとして取り組んでいきたい。 個人的にEMPTY TYPESが、触れた人の創造性を少しでも刺激するものになったら嬉しい。今後拡張していく中で、どのように受け取られ発展していくのかとても楽しみである。
KOBAYASHI
クライアントがいるわけでもなく、SHEDを表現する必要もないと言われたところから始まったプロジェクトで、何を軸にコンセプトや見た目を考えればいいのか、最初はかなり迷った。世の中に存在するキャラクターやアートトイには、どれも作家自身の伝えたい思いやメッセージが宿っていて、自分にそこまでのものを託せるだろうかという思いもあった。何者でもない感覚、社会の中でそれらしい輪郭を身につけて過ごす感覚──そういったままならなさを、形を持たない液体という存在に託すことにした。 リサーチのためにベアブリックを買って箱を開ける瞬間、何が出てくるんだろうというあの高揚感を久しぶりに味わった。造形やコンセプトの強さだけでなく、開けるまでわからないというその一瞬のワクワクもアートトイの魅力の一つなのだと、身をもって実感した。いつかEMPTY TYPESでも、あの高揚感を届けられるようになりたい。
WADA
アートトイを3Dビジュアルで表現するのは初めての経験だった。特にフィギュア化にあたって、頂点数や厚みの制限に苦戦した。3DCGではビジュアルを自由に表現できるが、それを3Dプリンターを介して立体物へと変換することは、思いのほか容易ではなかった。 アートトイというジャンルに向き合う中で意識したのは、かわいい・かっこいいといった表層的な表現だけでなく、ちょっとした癖や毒をビジュアルに宿すことだった。3Dでは特に、目ひとつとっても、イラストにはない側面や奥行きなど、あらゆる角度との整合性をとることが重要だと改めて実感した。 今後はこのプロジェクトを通じて広がったキャラクター表現への視野と、3Dプリントに関するスキルを、実際の案件に活かしていきたい。
- イラスト、メンバーのコメントを追加しました。
- EMPTY TYPES™とUSAGI TYPEを公開しました。